台風が近づいていた太平洋の荒波を僕は眺めていた。
砂浜で体育座りをし、水平線を、引いては返す波を、ぼんやり見ていた。
現実逃避
水平線の向こうにはアメリカ大陸があるのだろう。
まーアメリカには行かないか。
こんな荒波にたくさんの魚が泳いでいるのか、大変だな魚も。
海は荒れていても、大波を求めてサーフィンをする人がいるんだろうな。………
ストレスをためていた僕はボーっと物思いにふけっていた。
僕は一時間だろうかぼーっとしていたところ。
カマキリ出現
「ぱさぱさ」っと音が斜め後ろから聴こえた。
僕は驚いて振り返った。
茶色いやきつね色をした15cmほどのカマキリがいた。
カマキリは太平洋の荒波に向かって進んでいた。
(気分が悪くなるかもしれないので、ここから先、閲覧注意です。)
様子が変
カマキリの顔には切迫感が漂っていた。
この世界に生きることに疲れたのか。
ただ海へ、一歩一歩、進んでいた。
あなたのフィールドはそこじゃない。
海に行ったら、死んじゃうよと思いながら視線を送っていた。
砂浜から10メートルほど陸地側には雑草が生い茂っていた。
たぶん、カマキリはそこから来たのだろう。
カマキリは海へ近付いていた。
波がカマキリをとらえた。
陸地側にカマキリは流れ、そして引いて砂浜に仰向けになって足をバタバタしていた。
カニ出現
どこからともなく黒い小さいカニが現れた。カニはカマキリをもってサーサーサーと巣へ運んでいる。
巣は指一本入るか入らないかぐらいの大きさでカマキリは入りそうにない。
カマキリは入水自殺を邪魔され、最後の力を振り絞り、二つの鎌で抵抗していた。
カニはカマキリの力にあきらめ、巣に入って行った。
カマキリは動かなくなった。